今回は、MIXのイコライジングを説明します。
歌ってみたのカラオケMIXでは、
オケは既にあるので、
ボーカルへのイコライザだけ考えます。
イコライジングは、最初のうちは、
どんな音にしたいのか自分で上手くイメージできないと思います。
自分でMIXを繰り返していくうちに、
自分の中でイメージが出来上がってくるので、
色々試してみると良いです。
他の方のMIXをやってみるのも、凄く勉強になります。
より客観的になれるので、学ぶことが多いです。
ボーカルの色々な帯域と成分
ボーカルの声質によって、やはり違いはありますが、
それでもこういう音は大体このあたり、
というセオリーがあります。
- 200hz
男っぽい感じのする声の帯域です。
女性ボーカルの場合、これ以下の帯域を削っても、
あまり大きな変化はありません。
低音の主張の強い男性ボーカルの場合、
きちんと残しておいた方が声の感じが生きます。
- 800hz
ボーカルの芯の音がこのあたりにあります。
声量が大きい人は、歌の主張の強すぎる部分を抑えるために、
ここを少し削ります。
削り過ぎると、声に厚みがなくなってしまうので注意しましょう。
- 1khz
音の中心点と言われています。
人の耳が一番敏感に感じとるのが、ここの音です。
ボーカルをくっきりさせたい時に、ここを少し持ち上げます。
- 2khz
ボーカルのキラキラした感じがこのあたりにあります。
ボーカルの艶と言ってもいいでしょうか。
歌詞の分かりやすさを調整するためにも使います。
歌詞が聞き取りにくい時などは、ここをちょっとだけ持ち上げます。
- 8khzより上
ボーカルの空気感(サラサラした感じ)がこのあたりにあります。
ボーカルの子音の音が6k~10kあたりにあります。
透明感の強いボーカルを作る場合は、
これ以降は上げることが多いです。
ボーカルのイコライザ例
ボーカルのイコライザは、男女によって結構違います。
女性ボーカルの場合は、元々の状態でも良く聞こえるので、
あまりいじる必要はありません。
少し低音をけずって、抜けを良くすれば充分な場合は多いです。
例えばこんな感じです。
これはCubaseに付属しているStudioEQというイコライザです。
100hz以下を削って、10khz以上を少し持ち上げています。
6khzは歌詞の聞き取りやすさと、高音成分を増しています。
男性ボーカルの場合は、
イコライジングで声の印象が変わりやすいです。
基本的には、女性ボーカルとやることは同じなのですが、
オケの中で埋もれがちになるので、
細かい調整が必要になることが多いです。
男性ボーカルの例を挙げておきましょう。
これは、空気感を強くする例です。
低音をかなりごっそり削っています。
200hzあたりから下を削っているので、
かなりボーカルがサラっとした、ソフトな感じになります。
(もちろんボーカルの質にもよりますが)
8khzより上で、空気感を強くしています。
800hzは、芯の主張の強すぎる部分を少し抑えています。
歌詞が聞き取り難い場合は、
さらに2khzを少し持ち上げてあげます。
男性ボーカルは、
これでも聞き取り難い場合があります。
本来、男性ボーカルの場合は、
オケの方のかぶってしまう帯域にある楽器を、
オケ作成の時に少し奥の方にします。
しかし、ボカロ曲はボカロが大体女性ボーカルです。
なので、カラオケMIXの場合は、
オケの方に少しイコライザをかけてあげます。
どのあたりが被っているのかは、
実際にオケと合わせてみないと分かりません。
オケとボーカルを流しながら、
オケの帯域の500hzから1khzくらいの間を、
狭く浅く探ります。
こんな感じに。
そして、ボーカルの聞こえが良くなる所を、
ほんの少しだけ(1~2dB)削ってあげます。
これで大体埋もれがちなボーカルに対処できます。
まだ埋もれるようなら、
別の所(コンプレッサーや音量書き)を見直してみましょう。
男女ボーカルの帯域の違い
男女でボーカルの帯域には大きく差があります。
大体声の帯域はこんな感じです。
■男性ボーカル
- 低音部分 200hz~500hz
- 中心部分 500hz~2khz
- 高音部分 2kHzより上
■女性ボーカル
- 低音部分 500hz~1khz
- 中心部分 1khz~4khz
- 高音部分 4khzより上
実際にこれらの部分をイコライザでいじると分かります。
イコライザでの音の探り方
イコライジングをしていると、ボーカルの音を探ることが多いです。
実際の探り方を説明します。
ボーカルの、キンキンする聞いていて辛い部分を探す場合。
こんな感じで、狭い帯域を大きく持ち上げて、
これを左右にずらしながら、耳が痛い音の場所を探ります。
また、歌詞の聞こえ方や、声の中心点を探る場合は。
逆に他の帯域を下げて探ると探しやすいです。
これも左右にずらして探ってください。
他の帯域をカットする機能が付いているイコライザもありますが、
このStudioEQにはついていないので、
ここでは手動で設定しています。
まとめ
イコライジングは、
- オケの中で歌を聞きやすくするため
- 声の印象を曲に合わせるため
に使います。
最初のうちは色々試行錯誤しながら、色々な帯域をいじってみてください。
そのうち、どう変化するか分かるようになります。
曲によって、ボーカルによって、
どう聞こえるのがいいのか
- 気持ちよく聞かせたい
- カッコよく聞かせたい
- ソフトに聞かせたい
- 爽やかに聞かせたい
を考えましょう。
イメージを持てるようになったら、後はイメージに近づけていきましょう。
さて、今回は以上です。
次回はディレイとリバーブのお話を少ししたいと思います。
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